2020.08.10 Mon
(「オーデュボンの鳥」を出版された)新評論さんの新刊案内の「本を売る」のコーナーに寄稿文を掲載していただきました。内容は「オーデュボンの鳥」とお店の紹介とコロナ禍のことです。

まるで夏休みの読書感想文みたいな文章になってしまいましたが店頭で配布してますので良かったらもらってくださいね。

オーデュボンのご紹介で言い足りないことがあったので、もう少しだけ。
オーデュボンの絵は捕食シーンだったり、親鳥がヒナに餌をあげるところだったり、。。どうしてこんなにもイキイキとした場面が描けるのか本当に不思議です。

その秘密はオーデュボンの少年時代にあるのかな、と思います。
「鳥に魅せられた少年」(小峰書店)※品切れ、重版未定の絵本です。

鳥を観察するのが好きだったオーデュボンの少年時代のお話です。
1804年、オーデュボンが18才のとき、自宅近くにいる鳥が翌年戻ってくるのか実験してみようと思い、ヒナの足に糸を結んでみました。
この時代、鳥に糸を結びつける、つまり鳥の動きを追うためにその足に目印をつける、というのは画期的なことでした。多くの鳥が毎年もとの場所に戻り、その子孫も近くに巣をつくるということが証明されたのです。(この習性を帰巣本能といいます。)学者のあいだでも色々な仮説がたてられていましたが、このようなことを試したのはオーデュボンが初めてでした。

観察とスケッチを繰り返した少年時代のオーデュボンがいかに鳥が好きだったのか伝わってくる絵本です。

もう一人、鳥の博物画で有名なのが、ジョン・グールド。オーデュボンがヒナの足に紐をつけていた1804年に誕生します。
オーデュボンは「(同じ時代の絵は)ほとんど退屈で生気にかける」と言っていたそうですですが、グールドのことはその才能を認め嫉妬しながらも交流を深めていたようです。
グールドの図譜を初めて日本に持ってきたのは、戦前、鳥類学者であり明治神宮・宮司だった鷹司信輔さん。留学中、外国で入手して軍艦に積んで帰ってきたとのこと。太平洋戦争中はこれらの図譜を神社の倉庫に保管して守り通したそうです。
(鷹司さんの死後、この図譜は山階鳥類研究所に寄贈されました)
2002年山階鳥類研究所のブログで当時の資料室長が書かれていた記事が微笑ましいので、ほんの少しだけご紹介してもいいでしょうか。
“鳥類を原寸大で描こうとした試みーセルビイ「英国鳥類学図譜」”
http://www.yamashina.or.jp/hp/yomimono/shozomeihin/meihin10.html
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もし山階鳥研に非常事態がおきて、何か一つだけしか持ち出せないとしたら。。(中略)
グールドの著作群「ニューギニアの鳥」「ハチドリ科図譜」など大きな美しい図版は美術的にも高く評価されています。(中略)でも私はグールドの絵は選びません。これからお話するセルビイの「英国鳥類図譜」にします。
(資料室長がいかにセルビイが素晴らしくオーデュボンより優れていて、どんなに好きか、という文章が続きます)
でもひとつだけ白状しますと、もし山階鳥研にオーデュボンの本があったとすれば、私はやっぱりオーデュボンを担いで逃げます。
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やっぱり、オーデュボンなのか。。!!(笑)

荒俣宏さんが自身のブログに載せている2006年のオーデュボンの記事も可笑しくて全文載せたいくらいです。
“オーデュボンは、まだ買えるかも。。。しれない”
http://higedarumaokoze.livedoor.blog/archives/2006-02.html
博物画ってその絵を単に美しいというだけでなく、歴史とドラマがあって、知れば知るほど人を魅了する何かがあると私は思っています。
この話の続きはまた店頭にて。
当分のあいだ、水木金12時~18時営業しています。たまに早じまいしてますのでご連絡いただけますと大変助かります。前日までのご予約でいつでも開けられます。文鳥(桜店長)は自宅で留守番です。通販も実はやっています。